そうなんですよ、
ボクの読書体験のスタートは、SF本だったんですよ、ブラザー。
そのきっかけは、ボクが小5の時(1968年)、当時住んでいた島根プリーフェクチャーの県庁所在地である松江市にコンクリート打ちっぱなしのモダニズム建築の風体をなした
「島根県立図書館」がオープンしたことが大きいのである。
松江城のお堀に近いこの図書館は、竣工間もなく、ボクの大のお気に入りの場所になったんだ。
通っていた小学校にも近かったし、自宅から自転車に乗って図書館通いをはじめたのも、その頃のことなのだ。
その頃、一番気に入っていた本は、当時の日本の気鋭のイラストレーターである久里 洋二、
井上洋介、長新太、真鍋博、柳原良平、和田誠らが競って挿絵を担当したこのシリーズだったのだ。
岩崎書店の「エスエフ世界の名作」シリーズ全26冊
長い間、このSFシリーズは、あかね書房刊だとばかり思っていたのだが、この稿を起こすために調べてみたら、どうやら
岩崎書店のシリーズのようだった。
何しろこのシリーズは、本文の中の挿絵の点数が豊富で、次のイラストまで頑張って物語を読み進めようと心に決めながらページを繰り、当時、10歳のボクは、とうとう最後まで選んだ巻を読み通すことが出来たのだった。
そうなのだ。この体験を繰り返すことで、ボクはこのシリーズのイラストレーターたちから、本を最後まで読むことの楽しみを贈ってもらったのである。
そして、「島根県立図書館」が、ボクの読書体験を育んでくれたのである。
そのイラストレーター群の中で特に好きだったのが、久里 洋二、井上洋介、長新太氏らである。
その井上洋介氏のことを調べてみたら、
今年の2月3日に逝去されていたのだった。1931年(昭和6年)生まれ。ボクの父親と同い年である。
そのボクの父親は、いま、松江市で病床にある。